放射能汚染と農業 日本巨峰会機関紙より抜粋 |
* 基本事項 放射性物質は原発や水爆、原爆などによって生成されるだけでなく、ごく自然に存在している。宇宙から注がれる放射線や、普段の生活でも普通に存在し摂取している。 年間自然放射線量は世界平均で2.4ミリシーベルト、食物などからも世界平均で0.35ミリシーベルトとなっている。日本での平均は、1.4ミリシーベルトといわれている。 体内での放射線被爆の最大の原因は、カリに含まれるカリウム40であり、カリは生物の必須要素であるので常に体内に放射能を含んでいる ※「シーベルトSv」:放射線による人体への影響度合いを表す単位 ※「ベクレルBq」:放射性物質が放射線を出す能力を現す単位 *食品及び体内に含まれる放射性カリによる放射線量について 農業現場ではなじみの深いカリもカリウム40という放射性同位体を一定の割合(0.0117)で含んでいる。カリウムは作物の養分や肥料として必要なだけでなく、人間にとっても必須要素である。 放射性カリウムは地球がうまれた頃から存在しており、半減期は12.8億年。普段の生活で最も体内被曝が多いのが、放射性カリウム40による体内被曝である。 1グラムのカリウムに含まれる放射能強度30ベクレル程度。体重70sの大人は、およそ140gのカリウムを含んでおり、計算してみると、4000ベクレル/秒以上を常に体内被曝していることになる。 ではカリウムに含まれるカリウム40による年間の体内被曝量はどの程度なのか 「生殖腺や他の柔組織に対する年間線量は0.18ミリシーベルト、骨に対しては0.14ミリシーベルトである」「人体はカリウム40から放出される放射線だけで、年間の0.17ミリシーベルト内部被爆を受けているということになります」「日本人では海産物の摂取が多いこともあって、食べ物から毎年平均で0.8ミリシーベルト被爆されていると算定されています。(カリウムだけでなく、植物全体からの摂取量)」放射性カリウムだけの体内被曝量を見ると、概ね0.1−2ミリシーベルト程度のようです。つまり、自然放射線での被爆というもののなかにカリウムの被爆が割りと大きい。 以下、主な食品に含まれるカリウム含量と概算の放射線量(食品1kg、1g当たり30bqとして)
カリには放射性物質であるカリウム40も含まれており、一般的な食品にカリウムが含まれているため、普段から体に取り込まれることになります。なお、これらがすべて体に取り込まれるわけではなく、常に排出もされながら、体内で一定量(70kgの大人で2%、140g程度のカリウム<そのうち放射性のカリウムは0.0117%>)を保っています。 その他の放射性物質の大部分は、カリウムのように体内にとどまる率はさらに低く、半減期の短いものであればさらにに影響は小さくなります。(現在の農産物の暫定基準はヨウ素2000bq/kg、セシウム500bq/kg) 長期的に問題になると考えられるセシウム137を含む体内被曝量を計算してみました。暫定基準値上限の500ベクレル野菜を200日間100g毎日摂取すると0.13ミリシーベルトとなります。普段放射性カリで浴びている体内被曝量と同じくらいです。暫定基準値として上限値が引き上げられていますが、上限値ぎりぎりのものを摂取し続けてもこのくらいです。安全とは言いませんが、意外と少ない *土壌への浸透と放射性物質の性質 まず土壌に残留する放射性の中で最も多いのが、ヨウ素131である。ヨウ素131は半減期が8日であり放射能としての影響はかなり早く小さくなってしまう。そのため次に量が多く半減期が長いセシウム137が問題となる。 セシウム137の半減期は30.2年 カリと似た性質を持つアルカリ性、陽イオンなので土壌に吸着されやすく、土壌中での移動が少ない。 水稲の場合、玄米移行する割合は、作物体中に含まれる12〜20%程度で意外に少ない。(大部分は葉や茎に含まれる) 土壌に固定されるものは79〜99%で砂質などでは固定率が低く、有機物や粘土が多いと固定されやすい) 土壌表面5cmに固定化し(70〜99%)砂質では地中に浸透しやすく、有機物や粘土が多いと表面にとどまる。 米、麦については大気の降下量と作物中の濃度に強い相関が見られ、土壌からよりも大気の降下中に影響が強い 土壌に固定し易いセシウムは、降下が収まるにつれ、農産物への影響が少なくなる可能性が高い |