ぶどうの効能

食べ物はバランスよく摂取することが大切と思いますが、同時に旬のものを食べるということも意味の深いものがあると思います。夏には冷野菜、冬には温野菜というように、、、。ぶどうは秋です。8月〜10月 、夏ばてを防ぐにも効力があると思います。

農業新聞より巨峰について
ぶどうの”王様”巨峰 生活習慣病を防ぐ
巨峰は粒の大きさやさわやかな香りで消費者をひきつける。もちろん食べておいしい果実だが、最近の研究で、糖尿病や高脂血症を予防する成分が含まれていることが明らかになった。
巨峰はこどもや女性だけの果実ではない。生活習慣病予防のために男性ももっと食べよう!

選 び 方
粒に張りがあり、形が整っているのがよい。
軸のしっかりしたものを選ぶ。
粒の表面の白い粉はブルームと呼ばれ、これがしっかりついたものを選ぶ。

   

 342 果物の誤解

香川短期大学名誉学長  北川博敏
 
果物月報 Vol.55 No.6 より
    前回、お医者さんが「果物は糖を含んでいるので食べると生活習慣病になるから食べないようにしなさい」と間違ったことをよく話すのは困ったことだと書きました。これは果糖が血液の中性脂肪やコレステロール値を高くした、というネズミを使った実験があって、それが広く伝えられたからです。しかし、この実験は体重とほぼ同じ量の果糖を毎日食べさせています。誰が考えても、そんなことは現実には不可能なことです。しかし、実験の詳細な内容は知らずに、果糖が血液の脂肪の値を高くしたことだけが一人歩きしているのです。


東京の大病院のホームページ
 東京都のある大病院のホームページに以下のことが記載されていたそうです。
 (1)糖尿病の食事
 果物はビタミンや食物繊維が豊富ですが、果糖を含むため血糖を早く上昇させます。最近の果物は糖度が高く、血糖の上昇や血液中の中性脂肪の増加をまねく場合があるので食べ過ぎに注意しましょう。
 (2)高脂血症の食事
 砂糖や果糖などの糖類の摂りすぎは、トリグリセリド(中性脂肪)を増加させます。砂糖、菓子類、嗜好飲料、果物は控えましょう。
 (3)肥満症の食事
 果物は炭水化物を多く含んでいます。食べ過ぎに気をつけましょう。

 

中央果実基金協会の指摘
 これを見つけた中央果実生産出荷安定基金協会(中央果実基金協会)は、病院に対して次のように指摘したそうです。
 (1)果糖は糖類の中でも血糖値を上げにくい糖(血糖の上昇度を示すGI値はブドウ糖の100に比べ果糖は19)なので、「果糖が血糖を早く上昇させる」は間違い。また、果物は果糖のほかブドウ糖やショ糖を含んでいるが、吸収を緩慢にする水溶性食物繊維が多いので血糖を上げにくい食品(GI値はフランスパンの95に対して果物は40前後)である。(北川 注:GI値とはグリセミック・インデックスのことで、血糖上昇指数と訳されています。ブドウ糖を100として、食物を食べた後で血糖値が上がる速度の比較。数値が低いほど血糖値を上げる作用が遅い)
 (2)最近の果物の糖度は以前に比べ1.2度程度高くなっているが、2度は果物100g(ミカン1個)で8kcalに過ぎず、中性脂肪の増加や血糖の上昇をまねくものではない。
 (3)中性脂肪を増加させるのはカロリーの摂りすぎであるが、果物はほとんど水分でカロリーの高い脂肪を含まず、また、糖質も1.2割程度で、100g 当たりのカロリーは菓子類の10分の1程度と少ない。また、豊富に含まれる食物繊維が膨らみ、満腹感をもたらすのでとりすぎの心配もないダイエット食品である。

 

病院が改訂したホームページ
 このような中央果実基金協会の指摘に対し、病院は以下のように改定しました。
 (1)糖尿病の食事
 果物はビタミンや食物繊維が豊富ですが、ブドウ糖、果糖、砂糖といった糖分も含まれています。血糖の上昇をおさえるために1日の適量を目安にして、食べ過ぎには注意しましょう。
 (2)高脂血症の食事
 糖分のとりすぎは、トリグリセリド(中性脂肪)を増加させます。砂糖、菓子類、嗜好飲料は控えましょう。また、果物にも糖分は含まれていますが、ビタミンや食物繊維が豊富であるという点では優れています。1日の適量を目安にとりましょう。
 (3)肥満症の食事
 どうしても空腹を我慢できない場合は、甘い菓子類よりは、果物を食べることをおすすめします。果物は水分や食物繊維が豊富なのでエネルギー量が少なくても満足感が得られます。ただし、量的には1日当たりの果物摂取の目安量の範囲内にしてください。

 皆さん、果実基金が指摘する前と後では病院のホームページの果物に対する考えが大きく変わったのにお気づきと思います。本当は、生活習慣病、がんの予防のためにもっと積極的に果物を食べましょうと書くべきですが、まあ、やむを得ません。
 なお、1日の適量を目安にして食べ過ぎに注意しましょうと書いていますが、幾ら果物がよくても食べ過ぎは良くない事です。しかし、実際に食べ過ぎになるほど果物を食べる人はいません。政府の1日の摂取目標は毎日「200g」です。日本で毎日200gを食べている人は非常に少ないのです。
 日本では、このような誤解をしている人が多いのです。とくに病院関係者に多いのが困りものです。皆さんも、医者が果物は糖分が多いので健康によくないとか、病院のホームページなどで果物を誤解している場合は、この記事を見せてあげてください。
 果実基金協会は果物の消費を増やすためにパンフレットを作ったり、講演会を開催したりしていますが、このような病院のホームページなどにも目を光らせて果物が正しく評価されるように監視しています。

 

グリセミック・インデックス(GI値)
 グリセミック・インデックスについては以前から書こうと思っていたのですが、表にはしていませんでした。果実基金協会の指摘のなかで、私の注として書きましたが、食物を食べると消化・吸収されて血液の糖濃度が高くなります。その度合いをブドウ糖を100として比較したもので、血糖上昇指数と訳されています。
 この表をみると、果物は糖を含んでいますが、血糖上昇は他の食物に較べて遅いことがよくお分かりになると思います。
 
     
   

グリセミック・インデックス(血糖の上昇指数)

100 ブドウ糖
90−99 フランスパン
80−89 コーンフレイク
70−79 フレンチフライ、マッシュドポテト、ポップコーン、精白パン、白米ご飯
60−69 ショ糖、大麦パン、カレーライス、アイスクリーム、サツマイモ、胚芽米ご飯
50−59 パインアップル、キウイ、バナナ、カキ、オレンジジュース、そば、うどん
40−49 ブドウ、モモ、オレンジ、イチゴ、メロン、リンゴジュース、ニンジン
30−39 プラム、リンゴ、西洋ナシ、ヨーグルト
20−29 牛乳、グレープフルーツ、サクランボ
10−19 果糖、大豆、きのこ、海藻、緑黄色野菜

 

果物月報 Vol.55 No.6 より
 


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